十九までハンターをやっていた。



ハンターなんかなりたくなかった、

というか忍として生まれた事だって頭がおかしいのに、それ以上の事が起こるなんて思いもしなかった。

まず戦闘中だったのが不味かった。

瞬き一つでめし処、ゴハンの店先に立っていたもんだからてっきり幻術かと思って、後ろから飛んできた殺気混じりの何かを叩き落とした。



「へぇ☆」



トランプ。

後悔してももう遅い。

これがここでの最初で最大の間違いで失態で、全て芋づる式に悪くなる第一歩だった。

そのトランプ野郎に強引にハンター試験を受験させらて脅され絡まれ頼んでぬぇのに鍛えられ、

変態のついでに能面野郎にも弄られ拉致られ鍛えられ、

やっと逃げれたと思ったら街中で乱闘が始まってうっかり避けたらそれが収集癖のあるデコ野郎の攻撃で、

あれよあれよと捕まって弄り倒され鍛え倒され、




あれ?私、すっごい可哀想?


 




トリップ×3


 




「先生!さん!!」





リズヴァーンさんの道案内で(余りに可哀想になったので途中で姫だっこからおんぶに変更。更に着く直前には降ろしてあげるというナイス心遣い。私素敵)

着いた源氏の陣で神子姫様の熱い抱擁が待っていた。

因みに、望美ちゃんは私より少し大きいのでそんなにぎゅうされると肩口にある鼻が潰れます。





「よくっ!先生を連れて戻ってくれた、っ、感謝する」





それと涙ぐんだ棟梁代理からの感謝の言葉。

何てチョロい子なんだ!源氏はこれで本当に大丈夫なのか?





「全く、あなたはいけない人だ・・・・怪我はありませんか?」

「・・・・あ、うん。私はないけどね」





だからあなたがいるんですよね、わかります。

生「いけない人」ボイスに若干の鳥肌をたてながらリズヴァーンさんを引き渡す。





「一応傷だけ塞いだけど、中身は治ってないから。体力つく薬でもあげて下さいネ」

 



シュン禁止で、とリズヴァーンさんに言えばまたもや、うむ、と仰々しい返事が返ってきた。

一応死の縁から救ってきた身としてはここで死なれるのも寝覚めが悪い。

面倒臭いがそのうちベホイミでもかけてあげよう。





「おや?」





私が気遣いの淑女っぷりを発揮しているとフードさんが分かりやすく目を見開いて見せた。

あ、やべぇ。





「驚いた、僕が薬師だって知っていたんですか?」





この流れちょーめんどくさい。

これからこのフードは延々とことあるごとに私に絡んでくるんだろう。

私が敵か否か、使えるか否かを見極めようと。

やべぇ、ちょーめんどくさい(二回目)

気分にムラのある特異系ですが何か?





「うんうん、何でもいいから怪我人治して」





余りに面倒になって半目になっているのも隠しもせずパタパタ手を降った。





「・・・・へぇ」





大変興味深そうに微笑まれました。

ああああ〜!何か選択肢間違えたっ!星とか増えた音とかしてたらどうしよう!!それって凄く怖い!





ちゃんっ!」





頭を抱えて蹲りたい衝動をぐっと押さえ半笑いを浮かべていると遠くからヘタレボイスが響いた。





「景時!」

「兄上!」

「景時さん!無事だったんですね!」





ふりかえるとおへその眩しい彼が満面の笑みで私を見ていた。





「ぅくっ」





小さく呻いたの隣のフードマンにはわかったかもしれない。

何あの輝くヘタレわんこ系笑顔!眉を下げるな眉をっ!





ちゃん、無事で良かった・・・・」

「っ、や。はい。ちゃんです無事です」





自分でも何を言ってるのかさっぱりです。

思わずしゅたっと手をあげて返事を返す。





「薬も、本当にありがとう!おかげで死なずにすんだ部下が何人もいるんだっ!」





ホントにありがとう!とぎゅっと両手を握られた。





「っ!」





ヤバい。

貧血にでもなりそうな勢いで顔に血が上るのがわかる。





「っ!・・・・あ、のっあれだ!うん!ぜんぜんっ!」





自分でも何を言っているのかさっぱりです。(二回目)

おかしいな、自分こんな純情キャラじゃなかったはずなのに!

真っ赤になっているであろう頬では何を言っても無駄かもしれない。

半石化した状態で首をふっていると、へそさんがぎこちなく手を離した。





「あっ・・・・ごめん。馴れ馴れしかった、よね?」

「違っ!!」





分かる!このヘタレが何を考えているのか手に取るように分かる!!

こんな汚れた手で、とか、血にまみれた、とか、卑怯者の、とか、ネガティブってるに違いない。

がしっと反射的に離れた手を掴みぎゅっと握った。





「違うから違うから!ちょっとびっくりし、や、うん、へそさんとへそさん部隊の皆さんが無事で良かった。お役に立てて良かった、デス、ヨ?」





しゃべっているうちにまた血が上がってきて片言になりました。

もーあかん!相性悪い!

だって可愛すぎるんだもんこのヘタレ!!





「へそさんって!!」





後ろで大爆笑している神子たちと八葉の面々、と言っても主には黒髪美人とポニーと眼鏡とフードだ。

君たちの事も随分笑える呼び名で呼んでるけどね。

神子以外に興味がなくぼんやりしている白龍と覆面さんでフルメンバーのようだ。

還内府はともかく、ぱっつんと赤毛はこれから会うんだろう。





「えっと、ちゃんと自己紹介してなかったね」





後ろをいらっとちら見しているように映ったのかへそさんは空いた手で頬をかきかきちょっと焦ってそう言った。




「俺は梶原景時。景時って呼んでくれると嬉しいなあ〜」

「カ、・・・・ウッス」





カワユス!!たぎるのを誤魔化したけどカワユス!!





ちゃん?」

「・・・・怪我人の、手当てしてきまっす!」





小首傾げるな三十路前〜〜〜!!!

もうだめ!ここにはいられない!!

顔を隠して乙女走りで走り去りたい!しないけど!





「あ!さんに見てほしい人が」

「行きましょう!」





声を上げた望美ちゃんをかっさらい風のように走り去った後で、





「・・・・俺、ちゃんに嫌われてるのかなあ?」

「「「「「「それはない(わ)(よ)(でしょう)」」」」」」





とかいう満場一致な会話がなされてるなんて全く知らない。
 

 


知らないったら知らない。

耳なんて熱くねーよ!

 

 

 
彼を見てたぎるのは夢主だけではありません。私もです(笑)
ナンパなキャラクター、自分に自信のあるタイプは大変苦手です。
おかげでイケメン嫌いの称号を戴いたのは夢主でなく、私です(笑)
それが見事に反映されているのがこのお話かと。
ホント、朱雀組スキーさんには土下座じゃすまない。
ヤな人はホント見ないでくださいねー

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