そもそも私は、

バリバリ仕事して、

彼氏はいたけど二次元好きで、

ゲームもそこそこ、

漫画、小説、BL、夢小説だろうがなんでもござれの、

三十路近くまでしっかりオタクで、



なのにどうして?

何で私が?

何の因果でこんなことに?

なんて、

嘆く暇もなくここまで生きてきて、


結果、生きていれば何とかなる。

というぐらいの経験値と、ちょっとやそっとじゃ死なないだけの力はあるのだ。


 


 




トリップ×3



 



「Open The World Gate!」





片手を天に高らかに、





「Change THE ドラゴンクエスト」





光が体を包み、くるくると回る。

その間、ドヤ顔、ウインク、忘れずに。





「type 勇者!!」





左手を腰に、右手を開いて右目の前に、ハイポーズ。





「・・・・死ねる・・・・羞恥で死ねる・・・・」





額に丸い石の付いた飾り。

だぶっとしたマント。

人の下には必ずHPとMPが見えちゃうナイスなオプション。

勇者になった私は思わず顔を両手で隠し小さくなった。

本当に、あの頃の自分、殴りたい。







何とか精神的打撃から回復し神子姫殿に連れられたのが陣の離れで、

それが案の定ゲージ真っ赤で瀕死なぱっつんで、

あれ?ホイミ使って大丈夫?怨霊ってゾンビと一緒だっけ?なんて不安になりつつ結果オーライ、

ということで約束通り覆面氏も治してあげて、

他にもゲージが赤い人をこそこそ適当に治している間に無駄にレベルが上がり、

テレレ、テッテッテーン!みたいな音がKYに響き渡り、

半泣きダッシュで念を解き、

陣に帰ってくると、





「九郎さんの分らず屋!」

「っ!勝手にしろ!!」

「え?ナニコレ痴話喧嘩?」





みたいな事が繰り広げられていた。





さぁん!」




涙目で抱き着く神子を適度に宥めていると、すすすっと近寄るフードさん。

ちょ、近い。





「彼の事で少しありまして」





視線の先には程よい血色問題ない呼吸、健やかに眠る怨霊少年がいた。





「あぁ、なるほど」





ぱっつんを助ける助けないで一悶着か、あったねそんな事。





さんが治療されたとか?」

「・・・・ナニか問題ありました?」

「いいえ、余りに綺麗に治っているものですから」





少し気になって、と綺麗に笑うフード氏。

少しどころじゃないよね?めちゃくちゃ気になってるんだよね?

顔がひきつる。





「参考までに教えていただけませんか?」

「えー」





巡のえーではない、非難のえーだ。





「凄い嫌です」

「何故です?」

「面倒だからです」





そもそもフード氏と腹の探り合いをするのもそーとー面倒臭い。





「望美ちゃんに任せます」

「え?わたしですか!?」

「アデュー」

「ちょ!さんっ!?」

「消えたっ!!」





消えてません。

早く移動しただけです。

昔は私もそうやって驚いてたのにいつの間にびっくり人間になってしまったのやら。

その後は極力フード氏への接触を避け(近寄る気配があれば全力で逃げる。忍とハンターの能力の無駄遣いだと思った)

それとなぁぁあく戦い(途中ポニテ野郎に真面目にやれと三度怒鳴られた。腹が立ったので奴の髪にこっそり野花を挿して可憐さを演出してやった)

ぱっつんの仲間入りイベントを眺めて(ぱっつんに怪我を治したお礼を言われてちょっとキョドった。ちょ、何このかわいい子犬)

そんなこんなでたどり着いた京の梶原邸は、





「うぅぅーわっ」





何だか軽く呪われていた。





「これはこれは・・・・」





否、別に呪われている訳ではない。

八葉含め神子様ご一行は何の問題もなくご帰宅なされている事からもそれはうかがい知れる。

つまり、呪われているのではなく、見張られているのだ。

何だか沢山の人やら人じゃないモノに。





「ガッテム」





円を広げるといるわいるわ。

人間、五人。

人じゃないの、いっぱい。





「・・・・」





もう少し円の範囲を広げてみる。





「・・・・っ」





人じゃないの、いっぱい。

大事な事なので二回言ってみました。





ちゃん?どうしたの?」

「な、何でもないデ〜ス」





呆然と立ち尽くす私に笑顔で振り返るヘタレ家主殿。

とりあえずひきつった顔だろうが何だろうが笑顔でお返事。





「そう?こんな家で良ければゆっくり休んでね」

「う゛ん・・・・」





ゆっくり休めるだろうか、この家で。

ゆっくり寝れるだろうか、この家で。





「・・・・目指せ、ビフォーアフター・・・・」



 



バレなきゃいんだ、バレなきゃ。





そう呟いた私の顔は、

ノート片手に新世界の神になる発言をした彼並みに、

悪かったと思う。

 

 

 

 

 

自由人ですこの夢主。
機能的にはチートですが中身が平凡なので残念な感じに。
ヘソ贔屓のくせにフード氏がもっすごい絡みますね。
次はヘソと話したい。でも鬱な気がする。
しかし鬱ヘソと話すといろんなものがクラッシュする気がする。
主にシリアスな空気が。
でもそれがやりたかったのでやります(笑)
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