十六まで木の葉で過ごした。

忍の家系に生まれたもんだから、仕方ないからアカデミー行って、

仲間外れすんのも馬鹿みたいだから、狐っ子と仲良くなって、

気付いたら親友ポジションで初恋応援とかしてたら七班の四人目とかなってて、

スリーマンセルじゃぬえぇのかよ!って言いながら、



戦って戦って戦って。



気付いたら三代目亡くなってるし団扇のぼっちゃんいなくなってるし、

だから、死にたくないから、



修行して修行して修行して。



あれ?私結構苦労人?


 





トリップ×3

 






「見っけた!魔風っ!!」





人間と人間じゃないものに群がられている長身金髪覆面マントさんを発見。

すぐさま突風を起こしていろいろ蹴散らし彼の元へ。





「ちょっとじっとしててね、爆破陣っ!!」





覆面さんの隣に立って自分を中心に土砂と共に盛大に吹き飛ばす。

殺傷能力が低くその他大勢ふっ飛ばす時には大変重宝する。

勿論、自称師匠共にはこんなヌルい術は使いません。





「ん、しぶといな」





人間は気絶しているが、人間でないものは未だウゴウゴしている。

すげーめんどくさい。





「にげ、なさい」





覆面さんが苦し気に片足を着きながら私を見た。

あぁうん、もうこの際格好恥ずかしいとか言ってられない。





「相手は、怨霊、だ。神子の力なくては」

「怨霊かあ」





倒せそう。

多分イケる。

あれとこれとそれ、ついでにあれも撃っちゃえば絶対倒せる。





「とりあえず、魔風!!」



 

魔力で起こした突風でうごうごしている怨霊をふっ飛ばしながら考える。

でもめんどい。

何がめんどいって、神子と同じく怨霊倒せるって思われるのがちょーめんどい。

そしてヤバい。

間違いなくラスボスに嗅ぎ付けられて鎌倉に連れて行かれてぱっくんされる。

もしくは望美ちゃんへの人質とかになってぱっくんされる。





「やっべ、ぱっくんされる未来しか思い浮かばない」





最悪まさかの竜殺しの大技使って逃げよう。

鎌倉吹っ飛ぶだろうけど。





「よし、逃げよう」

「それで、いい。神子を頼む」

「何言ってんの、一緒に逃げるに決まってるでショ」





ここまで来た私をなんだと思っているのか。

ここで逃げたら極悪非道じゃないか。





「それに、宅の神子さんに頼まれたんで。ちゃんと連れて帰りますヨ?」





じゃないと三食おやつ付きが成立しない。





「さて、」





あーとかおーとか言いながらジリジリ集まってきた怨霊達に向き直り、詠唱を始める。





「烈閃槍!か〜ら〜の〜」





光の矢をわざと上空に放つ。





「ブレイク!」





ぱちんっと指を鳴らすと一本の矢が四散しそれぞれ怨霊に突き刺さった。

うむ、消えない消えない。

消えないし倒れない。

ただ少し歩みが遅くなるぐらいだ。





「よし、いい感じ」




確認するとそれを何度か繰り返し、周りの怨霊を弱らせる。

多分そのうち復活するだろうが時間稼ぎには丁度いい。





「何、を?」

「こんなもんでしょ。で、もっかい魔風!魔風!魔風!魔風!!」





覆面さんの問いには答えずさくさく仕事を進める。

弱った怨霊たちは突風に吹き飛ばされ散々になった。

これでもある程度目を付けらるだろうが、即ぱっくんよりマシだ。

マジぱっくんされそうになったらドラスレの前にドラクエ使ってルーラでさっさと逃げよう。





「これでしばらく平気でしょ。傷見せてね覆面さん」

「ふ、くめ?・・・・っ!」





傷は結構深い。

脇腹と足、それと左肩が大分深い。





「復活、は使えないか、ら」





この発の厄介なのはそのままそのキャラクターの短所も受けとるところだ。

制約によってキャラクターは一世界に一人。

違う世界のキャラクターになる為にはこれを一度解除してもう一度変身し直す必要がある。





「それは絶対嫌。な〜の〜で、これ、二つ三つ先に食べて下さい。それから怪我治すんで」

「・・・・」

「あ、不味いよ?ものごっつ不味いけど我慢してね」





じっと私の顔を見る覆面さんにやっぱり少し気まずい。




「えーと、毒じゃ」

「お前に従おう」

「へ?」





ぽつりとそう言うと覆面さんは器用にマスクの隙間から兵丸薬を口に入れて、噛み砕き、飲み込んだ。

ふむ。





「じゃいくよ〜治癒っ!」





手から癒しの光が溢れ傷を癒していく。





「これ、覆面さんの体力奪っちゃうんで、ある程度治したら止めますから」




完治させない事を予め告げると無言でこくりと頷いた。

ふ〜ん。





「ねぇ、覆面さん。前に会ったことある?」

「・・・・」

「・・・・」





ふぁぁぁあ、と魔力の音だけが耳につく。

とりあえずあーあー言ってる怨霊もいないし、気絶してる人達も起きる気配はない。





「・・・・リズヴァーン、だ」

「はい?」





沈黙に負けた覆面さんが呟いた。





「リズヴァーンと、呼びなさい」

「じゃあリズヴァーンさん。前にお会いしたことは?」

「・・・・答えられない」

「うん、それ答えですけどね」





その前の沈黙から分かってたけどね。

この人、困らせたくなるタイプだ。

何故って今までずーーーっと自分が困らされて来たからに違いない。





「はい、とりあえずここまで。外側は塞がってるけど中はまだだから動かさないで下さいね」

「うむ」





すげー。素でうむって言う人初めて見た。





「で、だ」





帰るにはこの人を抱えて帰りたい。

どういう原理か知らないが彼が自力でシュンッてやったら多分傷が開く。

この巨体を抱えて翔封界は無理がある、が、瞬身ならまあ行けるかも。

体に負荷がかからないように、休み休み行けば何とかなるだろう。





「その為には・・・・ふくめ、じゃないリズヴァーンさん、ちょっと後ろ向いててくれる?」

「従おう」





大袈裟な、と思いつつ素直に後ろを向いてくれるのはありがたい。

大丈夫、発解除はそんなに恥ずかしくない。多分。

あ〜何でこんなのにしちゃったんだ私。





Close!The World to Gate!」





そう高らかに叫ぶと体に光が集まり衣装チェンジ。

若干発動より光は少な目だ。

こちらは数秒で終わるし決めポーズもいらない。

だから恥ずかしくない。

ないったらない。





「はい、おしまい!」





いつもの服装、普通のジーンズに前開きのパーカー。

腰に忍具がもろもろ入ったバッグ、一応首に額宛をひっかけてある、全く普通の格好に戻る。

着物、来た方がいいのかな?





「じゃあ帰ろうリズヴァーンさん。道案内よろしくお願いします」

「・・・・っ、ああ」

「どうしたんですか?」





不審な動きをしたリズヴァーンさんに思わず首を傾げる。

傷が痛むのか敵が来たのか、と思案すると彼は厳かに首を降った。





「いや・・・・神々しいものだと、見とれていたのだ」

「っっっ!!!」





首から上が一気に熱を持ったのが分かった。





「後ろ向いててって言ったじゃんっっっ!!!」





何々仕返しなのっ!?やっぱり八葉怖い!と嘆いても、この人を置いて帰る度胸もないわけで。

結局赤面したままこの長身の男を抱えて帰ることなった。


 



「お姫様抱っこなのは仕様ですから」

 
「・・・・悪かった」

 
 
 
 
 
 
なんてゆーか変身は某朝の魔法少女たちを思い浮かべていただければいいかと。
世代によっていろいろあるけど、私は殴りあう魔法少女を見て驚愕ましたよ、
あたしたちんときは薔薇がアスファルトに刺さっただけで弱らせるとか何にもなくて今だ!セーラーふふん、だったのになぁ(笑)
好きです、殴りあう少女たち(大変な語弊あり)
 
 

top   next

 

inserted by FC2 system