「好きだっ!!」
「は?おっ、え?ちょ、へ、や、って、あ・・・・・・・・はあ?」
半泣きになる中学生男子を初めて見ました。
14歳のこと
「はあ・・・・」
「おねえちゃん?」
ここ最近の大きなトピックスと言えば金色狼とミス・カートンの事件だ。
金色狼的には事件でも何でもないが一般的には十二歳の男の子が悪戯されたという事になる。
脱童貞おめでとう!と祝福したらアーサーが鬼になった。
その後、大騒ぎで半狂乱になった両親(主にアーサー)を宥めたのは記憶は新しい。
てゆーか半分はアーサーのせいだからね?確か。
「おい!ドミ〜!」
「ねーちゃんと呼べ。アホ弟!」
それよりも。
そう、それよりも、だ。
「困ったなあ・・・・」
「何が困ったんだ?ドミューシア」
目の前をキラキラが覆う。
よくよく見れば逆さまになっても綺麗な目と鼻と口。
「リィ!あれ、いつ来たの?」
「ついさっき。ドミがおかしいって、二人が」
よくよく見るとリビングのソファーに座るあたしの周りには半泣きのチェインとデイジーがいる。
デイジーはともかくチェインは何故脳天を押さえているのか。
おや?そういやちょっと拳が痛いような?
「しっかり拳骨落としてたよ」
「そんなこともあったようなようななかったような?」
そんな些細なこと、と割り切り読みかけの本に目をやるが結局読む気が起きずに放り出し、だらしなくソファーに体を沿わせた。
「本当にどうしたの?調子が悪い?」
いつもならずっと動きっぱなしのドミューシアが?と何やら不名誉な事を言いながら金色狼はそのままあたしの額に自分のそれを合わす。
「っ!!反対側からおでこコツンなんて何てハイレベルな萌えをっ!」
「ああ、元気そうだね」
安心安心と隣に座る金色狼に一言尋ねたい。
君はあたしを何だと思ってるんだい?確かに正確に理解してもらってるような気はするが。
「で、どうしたの?」
また話せないような事?と翡翠の瞳が語っている。
「いや、何でもない事なんだよ」
つまりあたしが何をグチグチ言っているかと言うと、
「告白をされたんだよ。同級生に」
「告白?」
「付き合う、恋人、んーつがい?になって欲しいって」
「それで?」
「断ったんだけど可哀想だったな〜って付き合わないけど」
「うん」
「でね?」
ぽつぽつと喋りながら目に入った栗色の長い髪。
三つ編みをほどけばふわふわとした柔らかい感触。
「いろいろ考え出したら面倒臭くなっちゃって、」
「いろいろ?」
「そう、恋愛とか大人になる事とか女とか男とか将来とか」
「それはいろいろ考えたね」
「それはそれは、めんどくさかったのよ」
ちょっと前から丸みを帯だした体。
馴染みある痛みとまた付き合う事になるのかとげんなりして気付く。
この体はもう子どもが産めるのだと。
その矢先にあった小さな恋の物語、てなもんで今まで蔑ろにしていた未来が急速にあたしの目の前にすっ飛んできた。
あたしはいつか男を愛して子どもを産み育てるのだろうか?
あたしは仕事をし年を重ねていつかは前の年を越えるのだろうか?
「普通に将来にちょっとビビったってゆーか」
だからね?とあたしは髪の根元から持ち、
「髪切っちゃおうかと思って」
「っ!どいつもこいつも!!」
突然リィに怒鳴られました。
「え?いや、いい気分転換ってゆーか髪の毛長いと女の子らしく見えるらしいから告白されたのかとってゆーかどいつって?こいつって?」
「ルーファもドミューシアも!」
「えっ!?天使と一緒にしないでよ」
あたしとしては正当な抗議だったのだが、すうっとひとつ大きく息を吸ってリィが言い切った。
「一緒だっ!!」