まあ
三歳まで記憶ある子っているじゃぁん?
って事で記憶の有無については流してみた。
0歳何ヶ月かのこと。
まず、自分の家のリッチさにびびった。
シュィンっ
「ぅ!あ!」
家のドアが全部全自動だよ!!何で!どうして?もしかしてうちって大富豪!!?
シュィンシュィン
「ぅぁっ!」
「ドミューシアはドアが大好きなのね」
「ずっと見てるなあ」
赤子のよくある行動として両親に微笑ましく見られていたなんて全く知らなかった。
(だってシュィンシュィン言うんだよっ!?)
***
1歳のこと。
両親の会話から想像するにうちの父親は伯爵らしい。
ヴァレンタイン卿とか呼ばれていた。
卿て。例のあの人か!
そんなことはともかく、
「きぃうぇ〜?とぁ〜ず、にぃほぉなーの」
「あらぁ今日はご機嫌ねぇドミューシア」
貴族ってまだいたっけ?とりあえず日本じゃないのは分かったけど。
何。
この舌の足らない感じ。
とにかく。
今日は父親を迎えにステーションだか何だかという駅まで来た。
「にゃかにぁえいーはぃーな!」
たかだか駅の癖にハイカラな!!
「ほら、ドミ。もうすぐお父さんが帰ってくるわよ〜?」
あたしの、というか赤ん坊のうわ言はよくあることなので軽くスルーされた。
くそう。地味に傷つく。
もしかしたら、みんなこんなのかもしれない。
唯一思うままに出来る事といえば、思考する事だけ。
ありえないかもしれない、けど、もしかしたら、
全国の赤子がみんな実は記憶を持ってて本当はあたしみたいなのかもしれない。
それで、三歳になる頃には忘れる、と。
「うん!つぃーまぁう!」
辻褄合う、とはっきりしっかり言いたい。
「ほら、ドミ?お父さんがお船で帰ってきたわよ〜?」
「う?」
はて、駅でしょ?電車じゃないの?港じゃないでしょ?
と赤ん坊の緩い首をわざわざ傾げた途端、変な形の飛行機が目に入った。
「に゛ゃっ!!」
すげぇ変な声が出た。
「惑星セントラル便出航致します」
どっかでアナウンスが流れる。
(世界はいつの間に進化したんだー!!)
(宇宙進出だなんて聞いてない!)