「地球は、青かった・・・・っ!!」
「お客様?」
凄いぜ宇宙っ!
11歳、跳ぶ。
「着いたっ!!」
町から少し離れた小さな一軒家、やっと着いたその場所についガッツポーズを取った。
あの天使との会話から三ヶ月、やっとここまで来れた。
未成年が一人で惑星を出るのはやっぱり保護者の許可がいる。
感覚的には飛行機で海外へ行くにはビザがいるでしょ的な。
宇宙なのに、宇宙。
と、まあそんな訳でどうしても一人で旅行がしたいとアーサーにごり押し、理由を問われとつい見聞を広めになんて口走ったらアーサー暴走。
ちょっと浮かれていたのは否定出来ないが、他に説得力のある言葉が思い浮かばなかったのだ。
天使に会いに行く、は却下。
友達がいる、も会わせろと言われれば対応出来ない。
観光目的なら家族旅行でいい。
結果、一人旅で見聞を広めに、何ていう脳の腐ったような理由しか出てこなかった。
その押し問答で二ヶ月。
最後には、だったら家出する!ドミが不良にっ!?なんて叫びあっているところをのほほんマーガレットが、
「ドミは、どうしても行きたいのね」
「どうしても」
「どうして?」
「あたしの、人生の為に」
「そんな訳の分からない理由で!」
「いいわ、行ってらっしゃい。気をつけてね」
「マーガレットっ!!?」
なんて格の違いを見せ付けられた。
マーガレットにはきっと一生敵わない。
流石、あたしと金色狼の母親だ。
アーサーはそのままでいいのですよ。
可愛いパパン。
そんなアーサーとは一週間で帰ることをしっかり約束し長期休暇に合わせやっと出発に到った。
何だかんだ言っても費用はアーサーの財布から出ているわけで、駅で別れる時半キレ半泣きになっているアーサーにはちゃんと定期的に連絡を取ろう。
仕事に支障が出そうだからね。
三日間の宇宙船生活は予想以上に快適で不自由はなかったのだが、予想以上にテンションが上がったあたしは初日は徹夜。
二日目はロボットとお隣さんと会話し盛り上がり、三日間は疲れが溜まって爆睡した。
自由人だなあたし。
そんな紆余曲折を経てアーサーを泣かしながら三日目の昼過ぎに辿り着いた天使の家。
正しくはあの船長さんのお宅だ。
小さな、というのはここ十一年ほど住んでるのが大豪邸なのでそう思うだけで、庭付き一戸建てで裏には森が広がっている普通より大きな家だ。
せせこましい日本の都会では全部持てない素敵なお宅なのだが、あの裏の森には悪漢達が埋まっているのかと思うと背筋が凍るのでスルーしよう。
「さて、と」
いい加減、浮かれ気分から気を引きしめなくては。
天使と話す事、危険性、事実、どこまで話せるのか、あたし自身の安全確保、諸々を脳内で整理しながら玄関の前へ立った。
いざ出陣!そんな気持ちでベルを鳴らそうとした時だ。
「じゃあ、いってきまーす!!」
元気な子どもの声と共に玄関が開いた。
「わっ!」
出会い頭でびっくりしたあたし達と、
その向こうに、
「あら!いらっしゃいドミューシア」
連絡くれれば迎えに言ったのに、と微笑む、
それはまるで、
「め、女神が・・・・」