初めて触れた唇に、
力のこもった両の手に、
涙で滲んだ翡翠の瞳に、
全身全霊、貴方の全てが、
「 、ちゃん、」
「景時さん、」
飛び回った世界の記憶も、
この身を削った戦いも、
流した涙も血も汗も、
苦しさも孤独も悲しみも、
「帰りましょう、一緒に」
全部この為だったんじゃないかと思えていられる。
そんな錯覚をさせていて、
トリップ×3
「あら、それは困るわ」
少女漫画でいえばこのまま時が止まればいいのに、みたいなタイミングで一番聞きたくない声が聞こえた。
それはもう世の常としか言いようがない。
「っ!政子、様!!」
私を隠すように立ち上がったへそさんにちょっとときめく。
庇われ慣れてないからトキメキの沸点は低いよ!
「色仕掛けも得意なのね、烏のお嬢さん?」
「まあ、くのいちの定石ではありますね」
色の実技は落第ギリギリでしたけどね、と言いつつ手枷を外し、クナイを取り出す。
手枷をしつつもポーチは取り上げないわ身体検査しないわ、そんな甘さが大好きありがとうへそさん。
「あら、わたしと戦う気なの?」
「必要とあらば、仕方ないでしょうネ」
ついでにへそさんの隣にある扉を蹴り開ける。
本当に難なく出られちゃう自分がちょっと残念だ。
ラスボスの前でそんな事気にする余裕もないのだけれど。
「駄目だ! ちゃん!政子様は・・・・!」
「私だって無茶な戦いは嫌デスヨ」
へそさんの隣でクナイを構えながら、身体中にオーラとチャクラを巡らした。
防御力を最大まで引き上げ、半歩だけへそさんの前に出る。
「でもネ?」
襲い来る圧力に顔がひきつる。
これか。
これがラスボスとモブの格の違いって奴ですか?
「先方さんがヤル気満々じゃそうも言ってられんでしょう?」
それでもこちらもそこそこな修羅場をくぐった身。
思い出せ、暁とかち合っちゃった時や変態ピエロに襲われた日々。
うそうそ、思い出したくない。
神様系相手なら一番近いのは尾獣だろうか?
思い出せば思い出すほど本当に帰りたいと思ったし真面目に死ぬかと思った。
それでも生きてる自分を信じようと思う。
「 、」
来る、と確信した瞬間だった。
それが起こったのは。
「っ、」
何も動かないモノクロの空間。
へそさんが私を庇おうと動き出した瞬間に時空が凍った。
「うふふふ、」
余裕の笑みを見せる茶吉尼天。
何これ。
やっぱり神子って怖い。
空間に合わせて固まってみたのでまだバレていないが、本当にラスボスの裏技をひっくり返すこのチート。
思わず固まってみたがこの後どうしたらいいんだろう?
やり過ごす?いや、機会をみて動く為にはどうしたら、と悶々と悩む私の前に余裕のラスボスはゆっくりと近づいてきた。
「本当に、勝てると思ってるのかしら?」
独り言なのか、いや独り言じゃないと大変怖いんだけれど、するりとへそさんの頬を優しく撫でる北条政子と言われる彼女。
「・・・・・・・・・・・・」
その白魚のような手は見た目だけで、本当は彼をがんじがらめに繋ぐ鎖。
そしてそこはさっきまで私が触っていたところだ。
「可哀想な景時、貴方はずっと頼朝様の駒なのよ?」
「その可哀想なの、」
諦めた。
私はどっかのチョンマゲと違って策士じゃない。
頭を使うのは嫌いじゃないが、今の状態じゃろくなことは考え付かないだろう。
正しくキレたのだ。
だったら行動あるのみだ。
「私のなんで、触らないで貰えます?」
桜色の怪力少女みたいに恋に走るなんて、私に起こるとは思ってなかった。
ずばん!
いい音と重い手応え。
「っ!!あなた、何故!!」
決して浅くない傷をその腕に負わせ、よろけたところに蹴りをお見舞いし距離を稼いだ。
蹴り事態は入ってないので文字通り距離を稼いだのみ。
そのままへそさんの前に躍り出た。
「ちゃん、・・・・え?あれ?」
ラスボスの集中力が切れたから世界に色が戻り、後ろでへそさんの呑気な声が聞こえる。
チッ、ラスボス戦でなけりゃ消毒してやるのに。
「そんな、どうして!?」
混乱しているラスボスに隙なくクナイを構え直し、ニヤリと笑った。
「うちの神子を甘く見ないでもらいましょーか」
なかなかの性悪ですからね。
途端にざわつく気配に、閧の声。
このタイミングの良さはまさしく神がかっている。
本当に神子って怖い。
この世界で一番は神子姫さまだとゆー話(笑)
好きなサイト様に神子たちの共闘を書いてるサイト様があるんですけど、
1〜4の神子様が集まるとか!(笑)
そーゆーのDSでありましたけど、時空飛びまくってる神子が誰よりも強いよねってゆー(笑)
今も大好きなサイト様です♪