かぶき町はいつでもどかーん、がしゃーん、と喧しい。

その中心のほとんどは万事屋さんと、

「真撰組だ、邪魔するぜ」

彼らである。






シスターはかぶき町の世界にも生きていた?3






「ここか、例の薬屋ってのは」

「まー、普通に見えますがねぃ」

「あのー、店主さんいるかなぁ?呼んでくれる?」




マヨとドエスとジミーがやってきました。

もちろん、うちは薬屋なのでお客は来るものだ。

それでも最近では銀髪侍の専属薬屋化していたり、そもそも怪しさ爆発の門構えなので滅多に人は来ないし、来なくていい、が本音だ。

だって面倒くさい。




「・・・・普通か、これ?」

「オレがこっそり土方さんの部屋に飾りたいもんばっかりでさぁ」

「総悟てめぇ・・・・!!」




薬屋、というかお化け屋敷に近い店内をじろじろ見て回るマヨとドエス放置で、私に気付くジミーはすごいと思う。

私?番頭じゃないがちゃんと椅子を置いて目の前に座っていましたよ?

兎の子並の体格で基本気配薄めて生活してるので見つかりにくいですが。

それを見つけるのはなかなか素質のある地味感だ。

鍛えてあげてもいい。




「ん」

「ん?」




まあ本人がそれを望めばの話だし、話すつもりは毛頭ない。

そんな勧誘はせずのそりと手をあげた。




「挙手?」

「てんしゅ、わたし」

「へ、え?ええええええええ!!!!!!」

「う!うるっせぇぞ山崎ぃぃぃいいい!!!!」

「土方さんジミーの声にビビったんですかぃ?ぷ、だせぇ」




突如大声を上げたジミーに若干ビビったマヨ、それを好機とドエスを発揮するドエスの国の王子。

何しに来たんだ、肝試しか小僧共。

じゃれ出す青年二人を思わず半目で見る。

追い出しちゃ駄目かな?




「ちょ!副長!!この子!この子がここの店主だって言うもんですから!!」

「この子だぁ?っていたのか!!」

「ホントか、ガキ」




あーもう、帰ってくれないかなー

ここ数百年単位のストレスで我慢がききにくくなってるし、なるべく楽に生きていきたい。




「じゃあ今回は白ですかね?」

「いや、攘夷が噛んでようがいまいが、こんな子どもがこんな店やってるなんて普通じゃねぇだろう」

「天人って可能性もあるでしょう?ビビリ過ぎて死ね土方」

「おい、今なんつった?」




昔みたいにムキィーとなってカラオケだ自棄酒だと言っていられた頃の発散では追い付かないのだ。

かぶき町をペンペン草も生えないような土地にするのはしのびない。




「おいガキ、ここに店を出す許可はとってんのか?」

「あ、あの、オレ噂聞いたことあるんですけど、」

「なんでぃジミー」

「お登勢さんとこに、」




だから、ねぇ、




「「「っっっっ!!!!」」」




ざわりと体から沸き上がる衝動。

全て解き放つ事はできない。

あれ?何でだっけ?

何で我慢しなきゃいけないんだっけ?




「狂犬、が、いるっ・・・・て、」

「く、泡吹いてる場合か山崎!!死にたいのか!!」

「・・・・・・・・狂犬、ね。こりゃすげぇや」




目の前のものは、消していい。

そうでしょう?

立ち上がったその瞬間だった。




「お、何やってんだ、 ー」




がらがらがらっと、うちの戸が鳴る。

けろっとした顔で現れたのは銀髪侍で、

相変わらずの死んだ魚の目をしている。




「・・・・・・・・あー・・・・・・・・」

「なになになにー?暴力警察24時はあれなの?いたいけな子どもを囲んじゃうアレなの?」

「なんだとてめぇ!!しょっぴかれたいのか!!」

「えー、 は何にもしてないでしょー?それをしょっぴくってどうなのおたくぅー」

「おまわりさーん助けてーここに酷い子がいるよー」

「痛い痛い痛ーいお母さーん助けてーここに痛い子がいるよー」

「総悟、てめぇら・・・・!!!」

「・・・・・・・・あー、まちがい」




忘れていた。

そう、そうだった。

いそいそと座り直し、ほっと一息つく。

そう、そうなのだ。

大事にしたい事は、衝動ではないのだ。

私が大事にしたい事は、

そう、




、ババアが呼んでんぞー」

「ん」




立ち上がり、客、のような人たちを見る。

これをどうすべきか。

消す?それとも、




「おい、 。お前飯食ったの何時だ?」

「ん?」




突然の質問に思考が止まる。

飯、食事。

はて?

指折り数え出したところで、がしっと肩を掴まれた。




「ぶぶー!指折り出した時点で失格でーす!ほら、早くババアに叱られてこい!」

「えー、」

「約束、したんだろ?」

「んー」




戸口まで押し出され振り返ると、しっしっと手を振られる。

まあ、盗まれる物もなし、そもそも悪意を持って盗む者にはそれ相応の罰があるようになっている。

大分おかしな顔をした警察三人組を放置し、三日ぶり程の食事に出掛けたのだった。











「何?馬鹿なの?何なの? にあえて喧嘩売るって、死ぬの?おたくら?」

「うるせぇ!!何なんだ!あのガキ!!」

「アレですよ!!最近お登勢さんとこにいる狂犬って、あの子ですよね!!初めて見ました!!」

「あれが、ですかぃ・・・・一度手合わせ願いてぇと思ってたんでぃ!」

「ええええええええ!!!嘘ですよね!!!沖田隊長!!!完全に飲まれてたじゃないっすか!ビビってたじゃないっすか!!やめましょうよ!無理ですよう!!」

「・・・・先にてめぇをぶったぎってやってもいいんだぜ、ジミぃぃぃいいい???」

「ぎゃあああああああああ!!!!!!!!」

「ったく、うるっせぇなあ。ともかく、無駄に に関わるんじゃねぇよ。やっと落ち着いてきたんだからよ」

「何だ?どういう意味だ?」

「あいつは、若い男が怖ぇえんだよ・・・・理由まで言わせるなよ?」

「・・・・・・・・なるほどな」

「ちぇ、つまんねぇなあ!」

「そんなわけだ、とにかく、あいつに無闇に関わってくれるなよ!」

(えーっと、でも、それってあの子のすんごい殺気の説明にはならないよね?え?何か丸め込まれちゃってるけど、結局あの子は一体何なの???)









そんなわけで、そろーっと様子を見に来たジミーと和解。

こっそりジミーを鍛えて、しかしながら地味なものだから、怪我しにくくなって打たれ強くなったなあ、みたいな認識しかもたれないのは、おそらくジミーだからである。













ごめんなさい、こんな扱いで(汗)
キャラの皆様の偽者臭さはもう、はい、広い心で!(土下座)
夢主の若い男が怖い説は一応嘘ではありません。戦国でイケメン集団にいろんな意味で追っかけられてるので、立派なイケメソ嫌いです(笑)

inserted by FC2 system