人間じゃんか!と慌てた狐嬢に向かって、





「ワシの孫じゃ」





と宣った釜爺に、





「ありがと、おじいちゃん」





抱き着きたい衝動をぐっとこらえ、深々と頭を下げた。










油屋と私。








 

「呆けっとすんなっ置いてくよっ」





いや、するよ。

だって大根とヒヨコと蛙系が規格外のでかさでしかも歩いてるんだから。






結局、釜爺には雇ってもらえなかった。

お願いするだけお願いして断られたらやることなんてない。

私はただ、まっくろくろすけ改め、すすわたりのキモかわいさに心を打たれていただけだったが何を思ったか釜爺は狐の娘さんリンに話をつけてくれた。

今はそのリンに湯婆婆の元へ連れられているのだが、まさに映画で見たシーンがリアルに眼下に広がっていてちょっと真面目に歩けない。

だってすごいんだって!百鬼夜行、ではないけど八百万の神様がすげーまったりと風呂に入ってるんだって!

できれば働くのではなくあの巨大湯船に飛び込みたい。






「全くなんだって釜爺は・・・・」





ぶつくさ文句を言いつつもちゃんと案内してくれるリン。

私がちょろちょろするのでより疲れさせているようだ。

映画でもそうだったが、これって結構ヤバい事やってもらってるんじゃなかろうか。

厭わしい人間を湯婆婆の元まで案内したのがバレれば当然彼女は処分を受けるだろう。

最悪、両親の様に豚にされてハム行きだ。





「・・・・」





何て姉御だ、リン。

まあ豚にされる前にとんずらしそうな男前さであるが。





「おいっ!何やってんだ!こっちだっ!」





感心したのも束の間首根っこをひっ捕まれて運ばれました。

猫か!





「ねぇ、リ」

「シッ!!このエレベーターで最上階だ。精々頑張んな!」





いつの間にかこんな所まで来ていたらしい。

蛙達から目をそらさせつつリンが私を大根の神様と一緒にエレベーターに押し込んだ。





「ぁっ・・・・」





超愛くるしい大根の神様に匿われ身動きが取れなくなる、その前に、





「ありがと」





私は、

この世界に生まれて、

初めて、

心を込めて、

この言葉を使っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拍手再録です。
あまりに久しぶりに拍手いじってびびります。
でもわかってるわかってる。
みんなが気になるのは現在拍手で更新されてるのの、次、だってこと!!(キラッ)
いや、一回書いたら先にUPしといたほうがいいかなぁ、なんてやっていてだんだん書くのを忘れるかぁこです(殴っ)
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