当然のように連れてこられたのは油屋の目の前だった。
ああああああああああああああ、早まった。
油屋と私。
油屋の灯りがゆらゆらと妖しく揺れる。
既に心が折れそうだ。
「ね、ねぇ」
「シッ、この橋を渡る間は息をしてはいけない」
「私、肺活量少ないんで、早く渡ってねっ!」
やっぱりか!と思いつつ気合いを入れて息を吸い込む。
ガッデム映画沿いっ!と言いつつも知っていればある程度避けられるものもある。
蛙なぞに負けるものか!
「いい子だ」
優しく微笑まれ手をとられました。
「・・・・っ!」
違う意味で死ぬ。
思わぬ伏兵だ。
半分ぐらい空気が飛んでいきました。
なになに何なの?
喧嘩売ってんの?
天然なの?
それとも名前とは裏腹に真っ黒で遭えての笑顔なの?
てかいい年して小僧に転ばされそうってどうなの?
いやいや、落ち着いて私。
面食いか私。
違う違う、そーゆーんじゃないし、ちょっと久しぶりに見る美形にびびっただけだし、うんうんそうそう。
そんなお子様相手に鼻息荒いって世間様は許しても私は許さないってハク神様だから私より年上じゃ〜ん。
思わず混沌の海に堕ちたのがいけなかった。
否、いけないといえばもう何もかも全部いけないんだけれど。
「ハク様〜!」
「うっさい蛙っ!」
ぼこっ!思わず出た右ストレートが、ナイスショットで蛙に命中した。
「あ・・・・」
「千尋!」
また首がもげそうなGを感じつつ、この後私はおかっぱ様に土下座しなきゃいけない気がしている。
マジでサド星から来た王子の親戚だったりしたらどうしようと震えずにはいられない。
拍手再録です。
多分、このゆるさでいくと思われます。