十歳差って意外と凶器。
琥珀くんと私。
短パンから伸びたすらりと白く長い足、
細くしなやかな腕、
薄い胸が表す未発達な危うさを持つ美しいさ、
が、支えるランドセル。
「何度見ても・・・・何度見てもこれはっ!」
「千尋?」
小学生ハクと出会ってから約一年。
新学期を迎えてもハクはやっぱりランドセルで。
当たり前といえば当たり前で。
その衝撃を私はまだ乗り越えれずにいる。
「ハク、五年生か〜」
学校楽しい?と聞くとはにかみならが頷いた。
心臓痛い。
ハクが中学生で学ランなんか着ちゃったりなんかしちゃったりしたら私、鼻血出すんじゃないだろうか?
「明日からプール開きなんだ」
「プっ!!」
「大丈夫?」
「大丈夫。モーマンタイです」
何が不安てこのまま性犯罪者になっちゃうんじゃないだろうかとかね?
思わず思い浮かべたハクの水着姿を頭から追い出す。
まだ初夏だというのに太陽はギラギラと熱を送る。
「大学は忙しい?」
「まあ、そこそこね」
なんてことない会話を大切に、大切に噛み締めながら夏の道を歩く。
ハクは小学五年生で私は大学三年生。
休みも時間も友達も、生活リズムすら合わない私たち。
私にも私の生活と夢と野望がある。
ハクに会えたからといって投げ出すものでもない。
そんな訳で精々会えるのは月に一度。
携帯を持ってくれと切に願う。
「暑いね、千尋」
そう言うハクの旋毛が丁度私の肩の辺りにあるのに気付く。
去年は胸の辺りだったのに。
「背、伸びたねハク」
「うん。すぐに千尋を追い抜くよ、」
そう言うとするりと小指を絡めて微笑んだ。
「そうしたら、一緒に海に行こう?」
「っっっ!!!」
その笑顔に男を見て、
「・・・・くらくらするわ」
「熱中症!?」
大変だ!と慌てる姿に少年を見て、
何だかホントに目が回る。
どうかどうか、後九年、いやせめて後五年!
手を出さずにいられますように・・・・っ!!