「千尋・・・・」
伝う指先、流れる汗、脳神経が焼き千切れるような快感。
「・・・・おいで」
汗で貼り付いた髪をかきあげる仕草が堪らなく色っぽい。
「ハ、ク・・・・」
与えられる快感に身を捩りながら必死に手を伸ばす。
「お父さんとお母さんに会わせてあげる」
「・・・・って夢かいっ!!」
油屋と私。
すみませんすみませんすみませんすみませんほんっとすんません!
飛び起きて思わず布団に額を擦り付ける。
赤面なのか青ざめてるのか冷や汗なのか脂汗なのか。
誰か私をぶん殴ってくれってゆーか耳元でのセクシーボイスで私の夢に登場すんの止めて下さい。
寝起き早々、汚れた大人でごめんなさいと土下座する少女の図はシュールを通りこしてよく意味が分からない。
「ぁ・・・・」
一通り落ち着いたところで辺りを見回すと見覚えのない大部屋で見覚えのない人たちが寝ている。
「そうか、千ちひだったね。そういや」
朝だ。
でもここでは朝に休む。
「夜の蝶ってか?」
こっそり呟いて着なれないセクシー前掛けを身に付けてそっと部屋を出る。
セクシー前掛け。
何てセクシー。
歩きながら髪を結ぶ。
「おいでって、どこに?」
確か豚小屋、だった気がする。
「まあ、いいか」
適当にペタペタと歩きながら油屋を回る。
あんなに騒がしかった場所に今は人っ子一人いない。
歩き回り釜爺の部屋に辿り着く。
そっと中に入るとまっくろくろすけ、基、煤わたりたちが靴を持って来てくれる。
一匹ぐらい連れて帰りたいキモ可愛さだ。
「ありがと」
でも家が煤だらけになるのは御免被る。
こう・・・・ぺちんとしたい。
同監督某アニメの妹動作を思い出しつつ、後ろ髪を引かれながら外へ出る。
「こっちだ」
「ひぃ!」
突如現れたおかっぱ様に身がすくむ。
だって、だって、と目をそらし油汗を流しながらハクの様子を伺う。
あんな夢見た後でどんな顔したらいいのか、てかバレてたらどうしよう!神様だもん夢覗くなんてお茶の子サイサイってプライバシーの侵害じゃコラー!
「・・・・こちらに」
何故か少し寂しそうな顔をしたおかっぱ様はさっと身を翻す。
「う、うん・・・・?」
ハクの表情の変化に微妙に嫌な予感を覚えつつ、その後を追った。
(何か、変な誤解してないか?)
拍手再録。
女の子もムラムラするよねって話?(違っ!!)
ハクが千尋にビビられてしょんぼりしていると、いい!
何か勘違いしていると、いい!!