探す、探す、探す、

 

私は幸せを探してる。

 

 

be Happy! 

 

 

 

 

それはある日の事。

ほんの小さな、でもとても大きな出来事。

 

 

「ぐっ・・・・結構な重さで・・・・」

 

 

団子屋の買い出しも私の仕事の一つだ。

団子粉十キロ、餡子五キロ砂糖五キロにその他諸々。

腕が伸びそうだ。

否、確実に伸びている気がする。

 

 

「小分け、すれば良かった、かも」

 

 

このご時世、一体どんな進化を遂げたのか分かったもんじゃないが車もあるしスクーターもあるし自転車もある。

ただ、私が持ってないだけで。

 

 

「免許、ほしー」

 

 

その前に金と戸籍がいる。

何と難儀な事か。

あーぁとため息をついた。

 

 

「よう、お姉ちゃん!」

 

 

金は何とか貯まるだろう。

 

 

「可愛い顔してんじゃねーか!」

 

 

というか早く貯めて一人暮らしをしなくては。

 

 

「おいっ聞いてんのか?」

 

 

いつまでも店主宅にご厄介になるわけにもいなかい。

 

 

「おらっ!無視してんじゃねーよ!!」

 

 

だんっ!

大きな音がして目の前に太い獣の腕が壁に当てられ道を塞ぐ。

 

 

「・・・・失礼」

 

 

くぐって通り抜けようとすると当たり前の様に腕を捕まれた。

痛い腕が更に痛い。

 

 

「無視すんじゃねーよっ人間ごときが!」

「調子乗ってんじゃねぇぞ!」

「・・・・申し訳ございません。考え事をしておりましたもので。それで私の様な者に何のご用でしょう?」

 

 

伏し目がちに恭しく顔を上げれば虎だか獅子だか知らないが肉食系大型猫科動物の天人が三匹。

厄介な。

 

 

「いい娘じゃねぇか!」

 

 

一匹が舌舐めずりをする。

口臭が酷い。

 

 

「おい、女。ちょっと遊んでやるよ」

 

 

目が好色で醜く光る。

何処の世界でも牡は牡か。

 

 

「喜べよ、人間ごときが俺たちの相手が出来るんだから」

 

 


どうしたらここまで自意識過剰に生きていられるのか非常に気になるところだが、正直言えばどうでもいい。

 

 

「私、まだ仕事が残っておりまして・・・・」

 

 

駄目元で困った様子を見せるが好色に変わりは見えない。

変らず腕も持たれたまま路上の隅で三人に囲まれた状態だ。

それでも何より、自分が冷静なのが何よりも幸運だ。

もう多少の非常事態ではびくともしないぐらい肝が座ったらしい。

 

 

「ほら、来い」

「困ります、叱られてしまいますもの」

 

 

時間は昼。

素早く辺りを見回すが周りの人間は遠巻きにこちらを窺うだけだ。

役立たずが。

 

 

「いいじゃねぇか!」

「本当に困ってしまうのです。貴方様方のお相手は光栄でございますが・・・・」

「ならば雇い主の所へ連れていけ!直々に買い取ってやるわっ!!」

 

 

本当に時代劇のようになってきた。

私は諦めて重たい荷物を地面に置いた。

 

 

「それではご案内しますわ」

 

 

こちらに、と視線を送り獣共が一歩踏み出し、腕を掴む前足が緩んだその瞬間。

脱兎の如く、

 

 

どこーん!

 

 

走り出す前にバズーカで獣共が吹き飛ばされていきました。

 

 

「何しちゃってんの総悟ォォオ!!当たる当たる!彼女にも当たっちゃうでしょォォオオ!!」

 

 

煙の中から現れたのは厳つい体をわたわたと激しく動かす男が一人。

 

 

「当たらなかったんだから問題ありませんぜぃ」

 

 

奥にもう一人、小柄な青年が横柄に構えている。

 

 

「そーゆー問題じゃ」

「いえ、ナイスタイミングでございました」

 

 

パンパンと着物埃を払い頭を下げる。

 

 

「助かりました。今まさに走り出すところだったので」

「え?じゃあ走ろうとしてなきゃ当たってたってこと?」

「そうでしょうね」

「そーごォォオオオ!!」

「いいじゃねぇですか近藤さん。この女もいいって言ってんですから」

「いいとは言ってません。お陰で買い出しをやり直しです」

 

 

ほらと指差したのは獣共と一緒に吹き飛んだ餡子団子粉一式だ。

 

 

「申し訳ない!いつもやり過ぎだと注意はしてるんですが」

 

 

がばっと大きな体を二つに曲げ頭を下げる厳つい男。

 

 

「結構ですよ。助けて頂いたことには変わりありませんので。それでは、ありがとうございました」

 

 

軽く頭を下げ来た道をもう一度戻る。

 

 

「あの!」

「はい?」

 

 

振り返ると何故だか大型犬がダブって見えた。目薬も買おうかしら。

 

 

「どちらへ?」

「買い出しですか・・・・?」

「俺も、いや、私も行きます!」

「はあ?」

 

 

返ってくるのは善意に溢れた大型犬の瞳だけだ。

 

 

「うちのもんがやっちまったんだから私も手伝いますよ!おい、総悟!こいつら任せたぞ!」

「へぇ二股ですかぃ。こりゃすげぇや近藤さん。いつの間にそんな甲斐性をお持ちで?」

「バカヤロー!!俺はお妙さん命に決まってんだろォォオ!!じゃなくて、ここらはまだ治安が悪いからな!ちょっと行ってくるわ」

 

 

口を挟む隙なく話が進む。

 

 

「あの、だいじょ」

「さ、行きましょうか」

 

 

わふわふ!と吠える幻聴が聞こえる。

 

 

「私・・・・猫派だったんだけどなあ」

 

 

小さいけれど大きな出来事。

これが、貴方と私の出会い。  

 

 

 

 

 

 


「お!俺も猫好きですよ!でも本当に好きなのはお妙さんという俺の女神っ!!」

「はいはい」

 

 

 

 

 

 

 

 

いかがでしょう?
何か大型犬が見えてきた人手ぇあげて〜
それがドリームマジックです(笑)
BLで受けが可愛く見えてくるのと同じげふん。
どうやら、かぁこはこーゆーヒロインが好きで好きでたまらないようです(笑)
 

 

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