「結婚してください」
「はい、よろこんで」
「って待てぇぇぇぇぇぇええええええ!!!!」
これは全ての終わりのハッピーエンド。
be Happy!
1
それは本当にいつもの事だった。
船は空を飛び、天人は我が物顔でこの街を徘徊する。
それでも、かぶき町はいつも通りに喧しい。
「あのっ!」
それは本当にいつもの事だった。
いつも通り近藤さんはストーカーで、あの女にボコボコにされて道に放り出されている。
これが我ら真選組の局長かと思うと情けなくていたたまれなくなるのもいつもの事だ。
俺はいつも通り煙草を燻らせ、そんな局長を連れて帰る。
ただ、それだけだった。
それが、
「これ、使って下さい」
突然崩れた。
「・・・・っ!」
結い上げず肩口でくくられた黒髪が風に揺れる。
華奢な肩から下がる前掛けは通り沿いの団子屋の物だ。
正に白魚と呼ばれる指に手ぬぐいを持ち近藤さんのボコボコの顔に当てる、女。
「大丈夫ですか?」
優しく微笑むその顔にはまるで聖母のようで、
「結婚してください」
「はい、よろこんで」
「って待てぇぇぇぇぇぇえええええ!!!!」
「ってうそぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!」
それはまさかの奇跡を通り越し、口走った近藤さんすら叫ぶ珍事だった。