「ねぇ、ドミって好きな人いる?」  





15歳、噂。







小学生の時よくクラスの女の子が口にした話題だ。

中学では告白フラグと共に甘酸っぱく尋ねられもした(無論叩き折った)

そんな言葉を、

今、

その手の話に全く興味がないであろう実弟が口にした。





「なぁに?突然」





突然も突然だ。

同じ学校だが、学年も違う学科も違う、尚且つ惑星一つ全部学校だからね、なんてあたしの常識外の場所ではなかなか会うこともすれ違う事もない。

それをわざわざ時間を合わせ、空いた時間に楽しくお茶をしている時にする話題だろうか?

否、それはない。





「変なものでも食べたの?」

「そんな訳ないだろう?」

「なら、熱でもあるか天変地異の前触れかしら?」

「失礼じゃないか?オレだって既婚者だぞ」

「あら、それは王さまの器の大きさのお陰じゃない?」

「あいつだって結構変人だぞ!」

「それぐらいじゃなきゃリィの相手なんて出来ないでしょう?」

「ドミは知らないからそんな事言えるんだ!前に城であいついきなり」

「話が逸れてるよ?エディ」

「それと余り大声でそんな話をしない方が・・・・」





笑い声と共に右隣の天使が、胃を押さえながら左隣の銀色さんが口を挟む。

王さまの変人伝説はまた今度だ。





「で?何で突然コイバナ?」

「ちょっとした噂を小耳に挟んだらもんだからね」





天使がそれこそエンジェルスマイルを浮かべて紅茶(だったもの)を口にした。





「何?もったいぶって」

「で、いるのか?いないのか?」





身を乗り出し念を推す金色狼にやれやれと肩をすくめる。





「恋愛感情で好きになった人なんていないわよ」





精神的にせめて三十代、四十代でないと話にならないが今の私がそんな年上と付き合ったら大問題である。

そこらの男子に興味がないことなんてこの三人だって知っているはずだ。

それを一体今更何の事だ?





「そうか・・・・」

「で?」

「ね?だから言ったでしょうエディ」

「おーい?」

「良かったです、本当に。只の噂で」

「ねーねーだからさー何の話なわけー?」





いい加減にしないと拗ねますよあたし。

そんでもってしばらく口きかないとゆーアーサー半泣きのストライキを起こしますよ?

効かないだろうけど。





「・・・・あー」

「・・・・うん」

「・・・・ええ」

「何なのよ?」 





「「「ドミがヴンツァーとレティシアとドロドロの三角関係で愛憎劇を繰り広げてるって噂が」」」





ごつんっ!

テーブルで打ち付けた額が痛い。

なんだと。





「黒すけとレティが図書館でドミを取り合ったとか」

「殺傷沙汰になったとか?」

「ドミがどちらも選べなくて二人が付きまとってるとか聞いたものですから」





面白半分真実ちょっと混ざってるから質が悪い。

確かに図書館に行ったら何故か知らないが黒すけさんと猫すけがいて二人(主に猫すけ)に絡まれたし、

彼らの殺傷沙汰は日常茶飯時だろうし、

付きまとわれて(完全に猫すけ)は大袈裟だが確かに会う回数は増えた。

退屈な学校生活にはナイスなゴシップなのだろう。

気持ちは分かる。

気持ちは分かる、が。






「どこで、んな話が、出てんの?」

「クラスの女子に」

「後は、確認したら二人とも知ってたみたいでね」

「レティシアに関しては相当質が悪いですね、噂を楽しんでました」

「むしろ尾ひれつけてたぞあいつ」





そーか、そーか、最近天使たちに繋げ、じゃなくて黒すけさんや猫すけさんを紹介しろが増えたなーと思ってたら、そんな事になってたのかーそっかー、何か顔見てく人増えたなーとか思ってたらそのせいかー、そっかーそっかーんなことしてんのかー猫すけさんはー





「あれ?ドミ?」





すくっと立ち上がったあたしを見て金銀天使が顔をひきつらせた。

おかしいな。

あたしは満面の笑みを浮かべているだけだ。





「ちょっと絞めてくるね♪」

「「「ド、ドミューシア!!!???」」」





待ってお願い落ち着いて!逆効果だから!ドミが勝てる訳ないだろう!と諸々のご意見をいただきまして。

只今、猫すけさんお仕置き計画募集中、です。

噂が落ち着いたらてめぇマジで覚えてろよ。








後日、図書館にて。





「なー姉御ー」

「その呼び方やめ、猫すけ」

「ドミューシア、ちょっといいか?」

「何、黒すけさん。これ読む?」

「読もう。・・・・それより聞きたいことがあるんだが」

「なーに?」

「最近オレたち、なんんんか、一部からあっっっっい、視線をもらうんだけど?」

「ふーん?」

「・・・・俺と、こいつがドミューシアを隠れ蓑に愛し合ってる、と聞いたんだが・・・・」

「へーえ?」

「姉御、なんか、知らないかなー、と、」

「うーん?」

「・・・・あー、うん、その、」

「えー?」

「・・・・謝っておけ、レティシア」

「悪かったから、マジその顔やめて姉御!!」

「うふふふー」







日記に書いた冗談だったんですが時間軸的になくはないな、と盛り込み(笑)

こずみさん、解決方法ありがとうございました! 

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