そして、
そして、
そして、
25歳、ありのままの私。
「君がずっと隠していたことはこれで全部?」
沈黙の後、天使が小首を傾げるように尋ねた。
「うん、」
異世界の魂だった事、
未来を知っていた事、
これが私の全て。
「あの、一つよろしいですか?」
おずおずと銀色さんが口を開いた。
「その、太陽と闇と・・・・まあ月は分かりますが、その他の二つは・・・・?」
何故呼ばれたか分からず、意味の分からない話を延々聞かされた彼が、居心地悪そうに問う。
「猫すけさんと黒すけ氏」
「は?」
「レティーとヴァンツァー、かな?」
天使が翻訳した途端、毛を逆立てた猫みたいになった。
何かごめん。
「俺はなドミューシア殿、弱者が身を守る事が悪いとは思わん」
王さまがそっと労るように口を開いた。
部外者だが、と一言断る辺り本当にいい人だ。
「ありがとう、ございます」
でも、私が許しを乞わなくてはならないのは、
「おれは、」
ゆっくり、リィが不愉快そうに口を開いた。
「ドミを役立たずや、嘘つきなんて思ったことは一度もない」
「・・・・リィ」
目の前に立った王妃は私より頭一つ分は高い。
見上げた翡翠は酷く不機嫌だ。
「知ってたさ、ドミューシアがおれのために何かを必死にしていたこと」
「っ」
「それが、ドミの戦い方だ」
知ってたよ、金の戦士はもう一度そう繰り返した。
「身を守ることが、エディを守ること、なんでしょ?」
モイラに聞いたよ、と天使が隣に立って頭を撫でた。
「そんな、りっぱな、こと言っ、てない」
「でも、そうでしょ?」
「うるさいてんし」
顔を隠すため、目の前の王妃にしがみつく。
わぉ豊満!
「ドミは泣き虫になったなあ」
「りぃがすぐにかえってこないからでしょ!」
ぎゅっと力を込めると少し甘くて柔らかい女性の匂いがした。
立派な妹になっちゃって、お姉ちゃん複雑です。
「ごめんなさい、ありがとう」
黙ってて、心配させて、
信じてくれて、傍にいてくれて、
「これからも、あなたのお姉ちゃんでいていいですか?」
そう小さく尋ねると、嘆息と共にコツンと軽い拳。
「当たり前だろう」
ドミがこんなに馬鹿だなんて知らなかったよ、
なんて言う生意気な弟に、
私は更に両腕に力を込めた。
おまけ
「というか、どうしてドミまでこっちに来たの?」
「いやそれが!天使の髪の毛に絡まったんだよ!」
「・・・・ルーファ?」
「あ・・・・えっと、エディ?」
「しかも私一人王さまの膝の上に落ちちゃうし!大変だったんだよ!みんな怖いし!!」
「・・・・ウォル」
「い、いや!突然の事で俺もだな!」
「天使はその後何日も来ないし!みんなリィに似てない似てないって連呼するし!」
「だれが?」
「幼馴染みさんと従兄弟殿」
「ふぅぅぅうん、」
「でも今はみんなに良くしてもらったから、ってどこ行くのリィ?」
「ちょっと野暮用」
「ふーん?」
「二人には、後で話を聞くからな」
「「・・・・」」
「あ、れ?リィ何か怒って、た?」
「リィが心配性な理由が分かる気がします」
「え?何で?銀色さん!え?私天然扱いっ!?」