金色狼が来てからというもの、
もう、
楽しくて堪らない。
十歳、はしゃぐ。
「おかえり、ドミ」
家に帰ると金色狼がチェイン、デイジーとおままごとをしていた。
見返り美人のお出迎えに鼻血噴きそう。
「リィ!いらっしゃい」
慌てて鼻を押さえて挨拶を返す。
あたしの奇行には慣れたのか金色狼は苦笑を浮かべただけで目の前の弟と妹に目をやった。
何だかちょっとぐったりしているようだ。
「お疲れみたいね?」
「これの前に色々やったんだ」
「ははぁん」
かけっこチャンバラかくれんぼ、ボール遊びに鬼ごっこ、絵本を読んでお花摘みにおままごと、などなどそれらをぐるっと一巡して今に至るのだろう。
あたしにも覚えがある。
コドモザウルスの強いのなんのって。
「はいおちゃどーぞ、あなた」
薔薇の花びらを浮かべた水入りのカップをウキウキと金色狼に渡すデイジーとおままごとに飽きているチェインの頭をさらりと撫でる。
「本当のお茶にしようか?デイジー、チェイン」
「えー!つぎオレとあそぶっていったのに〜!」
「ケーキ、冷蔵庫にあったけど?」
「たべる〜!!」
「たべう〜!!」
バタバタと走っていく怪獣たち。
「ふっチョロいぜ」
ピースサインをかざせば肩をすくめる金色狼。
どうやら本当にあたしに慣れたようだ。
それもそうかと先週の自分を思い出す。
家を案内しては、
「ほら見て!この家自動ドアとかついてんのよ!」
「お手伝いロボとか!ありえないでしょっ!ロボだよ!R2Dなんとかみたいな!」
「これ、携帯端末ね。端末て!電話じゃないしね!画面も出ちゃうから!テレビ電話のハイテク版だから!!」
など挙げればきりがないが、このあたしの行動は十年間の鬱憤を吹き飛ばすようにとてもエネルギッシュだった。
心の声だだ漏れだったりもしたのでもう怖いものなんてない。
そんな可哀想な被害にあった金色狼の言葉は真っ当だった。
「それ、比べるものがないと驚けないから」
えぇ全く。
それでも一緒に驚いてくれる人を求めているので銀色さんに期待したい。
「ドミ、どうしたの?」
今後の野望に思いを馳せていると黄金の太陽に目を焼かれました。
目がー目がー!
「なぁんにも。金色狼はケーキいる?」
しぱしぱと光に慣らすように目を瞬かせる。
美人が三日で飽きるなんて嘘だ、いつまでも見ていたい。
「甘い?」
「かなりね」
「ならいらない」
鼻の上にしわがよっても美しいなんて素晴らしい。
「ならハムかサラミでも切ろうか。アーサーのだけど」
「お酒ある?」
「二十歳越えないと飲めないわよ、こっちじゃね」
「・・・・それ、ここじゃなきゃいいってこと?」
「天使と飲むときは是非呼んでちょうだい」
こんな感じにあたしは楽しく過ごしていた。
「じゃあ、今度ね」
「よっしゃ!」