大体さ、 

 

 

 


六歳、アンニュイする。

 

 

 


休み時間はひとりぼっちだ。

てゆーか、お願いだから一人にして欲しい。

チラチラあたしを気にしてくれるクラスメートの視線は嬉しい。

先生のこの子大丈夫かしら視線はウザい。

失礼、間違えた。

ともかく、何だかあたしは酷く余裕がない。

 


「はあ・・・・」

 


昼休みはこっそり屋上に忍び込んで空を見上げるのが習慣になった。

何もかも面倒臭い。

勉強もクラスメートも家もあたしも。

 


「青くさ・・・・」

 


大体、何でこんなにも文字が難しい事に気づかなかったのか。

なんやかんやとバタバタしていて・・・・

いや、これは言い訳か。

あたしは気付かなかった。

何処かで、否、心を捲ったすぐ裏で、

あたしは帰れるんじゃないかと思ってたんだ。

 


家に、

日本に、

家族の元に、

あたしは、

 


「しんだのに」

 


字を覚えて、

勉強覚えて、

学校出て、

社会に出て、

 


「そしたら、あたしは」

 


何もかも忘れてしまうんじゃないか。

それが怖い。

 


「だれか、あたしをおぼえていてよ」

 

 

もう、何年も呼ばれていないこの名前。

 

 

 

 

 

(あたしですら、解らなくなる)

 

 

 

(青いあおい空に、吸い込まれてしまいたい)

 

 

 

 

 

(あたしは一体、誰ですか?)

 

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