キラッキラのパーティー会場。
豪華な食事と綺麗なドレス。
そんなものはどうでもいい。
彼だ。
五歳、楽しむ。
あたしって結構がんばっている。
今更ながらにふと思う。
花の二十代半ばで人生を終えて、気づけば赤子からの再スタート。
自分より若い両親に育てられ四苦八苦と思いきや、何とこの世は昔読んだ小説の世界だったなんて、
一体何の冗談だ。
つまり、何が言いたいのかと言うと、
「申し訳ない。娘がどうしても貴方にお会いしたいと」
「構いませんよ、とても可愛らしいお嬢さんだ」
ちょっとぐらい、我が儘言ってもいいと思うってこと。
「は、はじめまして、どみゅーしあ・う゛ぁれんたいん、です・・・・」
目の前にっ!!総帥が!!キングが!!ケリーが!!海賊が〜!!
暴れだしそうになるのをかろうじて抑え、回らない舌が余計に回らずもう何だか分からない。
目の前に立っているのは初老の男性、にすらちょっと見えない生命力に溢れた男の人。
本当に七十歳のおじいちゃんなんだろうか?
多少髪に白いものが混ざるもその活力が瞳から、表情から、全身から溢れ出ている。
声も渋い。
くそうっ!何て素敵なおじ様なんだ。
「ドミューシア?緊張してるのか?」
しないでかっ!!
アーサーの背中を蹴り飛ばしたい衝動をかろうじて抑える。
そーゆーデリカシーのないこと言うと娘に嫌われるぞ!こんにゃろう!
いつもならわざともじもじしてみせる、某名探偵顔負けの子役っぷりも影を潜め、なんかもー緊張で
顔が青ざめてる気がする。
「初めまして、レディ・ドミューシア。私はケリー・クーア。会えて嬉しいよ」
ぐはっ。
何この総帥顔!
膝をつき視線を合わせ微笑むおじ様。
くらっとくるぜ!
思わず鼻を押さえてはっと思い出す。
「あ、あのっ!」
思い出す。
そうだ。
ただ単にキングに会いたかった。
それは否定しない。
それともう一つ。
「ミスターにおききしたいことがあるんです」
「何かな?」
小首を傾げるキングの耳元にそっと口を寄せた。
「てんしにあったことはありますか?」
ただ、もう少し貴方たちに関わりたい。
そんな我が儘、聞いてくれますか?
(あ、でも危なくない範囲でよろしく!)